一度きりの人生、これでいいのか。
自分にできることがもっとあるのではないか。
今回ご紹介する『渋沢栄一が転生したらアラサー派遣OLだった件』は、
あの渋沢栄一が令和の派遣OLとなり、周囲を巻き込みながら輝きを放っていくというビジネスエンタメ小説です。
こんなあなたに読んで欲しい!
・渋沢栄一?名前だけは知ってるけど…という方
・楽しみながら学びたいという方
・今の生き方に疑問を持っている方
ポップな表紙と斬新なタイトル。
でも、渋沢栄一の知恵をしっかり学べる一冊でした!
ストーリーとしても楽しめて、あっという間に読んじゃいました!
『渋沢栄一が転生したらアラサー派遣OLだった件』って、どんな本?
基本情報
著者:三浦有為子
発刊:2024/11/29
出版社:クロスメディア・パブリッシング
著者は、映画『明日の記憶』で日本アカデミー賞優秀脚本大賞を受賞した三浦有為子さん。
堤幸彦監督の映画『2LDK』やTVドラマ『ウルトラマンジード』の脚本も手掛けており、本作は初の小説作品です。
本書では、令和の派遣OLに転生した渋沢が性別や時代の変化に戸惑いながらも、それを楽しみながら自分自身と周囲を輝かせていくストーリーが描かれています。
主人公である渋沢栄一は、1840年に現在の埼玉県深谷市で誕生しました。
500社ほどの会社を設立・育成した功績から「近代日本経済の父」とも呼ばれており、
2024年には新一万円札の顔となったことで再度注目を浴びました。
そんな渋沢が、令和の都会でスマホ片手に派遣OLとして働く…。しかもアラサーの女性として!
とても違和感のある設定ですが、このミスマッチが本書の面白さ。
新札の顔になったことやNHK大河ドラマの主人公になったことにも触れられており、
所々でクスっと笑える、明るく楽しい小説です。
渋沢栄一の名言から学べること
本書のストーリーの中には、渋沢栄一や彼に関わりのあった人物の名言が盛り込まれています。
この記事では、その中の一部をご紹介します。
「刀は固く握れば、敵に素早く応ずることができねぇ。柔らかく、持ち切る瞬間に握り込め」(P69)
こちらは、渋沢栄一の師、尾高惇忠の言葉です。
渋沢のいとこであり、学問と剣術を最初に伝授した人物でもあります。
尾高が渋沢に剣術を授けたときの教えとのことですが、
剣術のみならず、現代の私達の生き方にも当てはまる言葉ではないでしょうか。
変化が激しい時代であるからこそ、柔軟な思考をもつことで変化に対応できるようになる。
そしていざという時には、集中して力を発揮できるように準備をしておくべきである。
私はそのように解釈してみました。
「考えのない学びは無駄である。学ばずに考えてばかりいては危険である」(P84)
こちらは孔子の言葉です。
渋沢栄一は孔子の言葉などを弟子がまとめた書物である『論語』をバイブルとしていました。
私達はつい、「とりあえず資格を取ろう」とか「とりあえず英語を」とか考えてしまいがちですよね。
実は私もそうでした。
過去の私は、なんとなく役に立ちそうだとか、カッコいいからとか、大した考えもなしに学んでいました。
そしてまた、次は何をしようかな…と考えて立ち止まっての繰り返し。
渋沢自身も以下のように述べています。
今の青年はただ学問のために、学問をしているのである。初より確然たる目的なく漠然と学問する結果、実際社会に出てから、我は何の為に学びしやというがごとき疑惑に、襲われる青年が往々にしてある(P121)
目的には理想が伴わなければならない(P263)
学んだ先で、自分のどんな目標を、夢を叶えたいのか。どんな自分になりたいのか。
学ぶ前にしっかり考えておきたいですね。
勉強の心を失ってしまえば、その人は到底進歩発達するものではない(P109)
こちらも渋沢の言葉です。
技術や価値観が目まぐるしく進歩している現代においては特に、
学び続けていなければ「進歩発達」どころか衰退に向かっていく…。
だから常に、学ぶ姿勢を持ち続けていなければいけない。
時々見返して、ずっと大切にしておきたい言葉だなと感じました。
おわりに
本書はサクサク楽しく読める小説という形でありながら、多くの学びを得ることもできました!
派遣OLの立場となった渋沢が自分や周りの人々を輝かせていく様子に、読了後はスカッと心が晴れます。
「一度きりの人生、このままでいいのだろうか」と悩んでいる方の希望となりそうな一冊でした。
ビジネス書は苦手…という方にもオススメです!
私は本書の読了後、気になりつつも未読だった渋沢栄一の『論語と算盤』も購入しました!
ビジネスエンタメ小説といえば、大ヒットした『もしドラ』もおすすめです!